「国土の長期展望に向けた検討の方向性について」
ランドスケープデザインは、完成時が一番美しい建築デザインと異なり、時間をかけて完成していくもの、などと言われているが、現実はどうか?、と学生さんと都市を見ながら考えて、自問自答も続けている昨今。少子高齢化や地球温暖化その他、多面的に30年後、50年後、100年後の予測を見ていくと気持ち悪くなるくらいの予測が多数されている。
日経アーキテクチャーの「ケンプラッツ」のケンセツ的視点にもこれに触れたコラム「無人と化した地に長期優良住宅が残る未来」でも論じてあったが、2100年に3770万人に減少した日本に住む人々が、都市圏に集中して住み、新興の住宅地が頑丈な空家だらけのゴーストタウンになるといったイメージが解かれている。「何を建てるかではなく、どこに建てるか。さらに言えば建てた地域をいかに維持していくか」コラムの通り、住宅も「維持」というのが課題になりそうなのは多くの人が感じるところだろう。どんなに「長期優良」な住宅でも、メンテナンスなしに人が住まずに「長期優良」を維持できるわけもないのだ。
そこから一歩進んで、宅地開発をする者も、ランドスケープの維持、地域の維持に関する展望を描いて、地面に絵を描いていくべきだと痛感する。ランドスケープも実は人が維持管理していかなければ、絶対に保てないのは見過ごされがちなところ。「長期優良住宅」をうたうならば、「長期優良住宅地」の思想も必要なのかもしれない。ちょっと深く考えてみたいテーマだ。